プリズンブレイク 英語

プリズンブレイクに登場する人物の英語表現考察

今回、私はアメリカのドラマ『プリズンブレイク』に関しての英語表現について分析して

 

みたいと思う。

 

私がプリズンブレイクについて表現分析しようと思ったのには理由がある。それはプリズ

 

ンブレイク中の英語には癖があると思ったからだ。プリズンブレイクは私が高校生のとき

 

から見ていたドラマで個人的に馴染み深いドラマだ。当時、プリズンブレイクのドラマ内

 

で使われている英語を聞いていてもよく聞き取れないと感じたことが多々あった。その時

 

は私の英語力不足が原因で聞き取れないものだと思っていた。もちろん英語力不足という

 

のは当然ながらある。しかし、大須賀先生の授業を聞いて以来は、英語にも地域方言や社

 

会階級に左右される訛りがあると知り、当時聞き取れなかったのはプリズンブレイクの中

 

で使われている英語に訛りや癖があるからだと思うに至った。このレポートではプリズン

 

ブレイク登場人物の英語について分析していきたいと思う。

 

まず最初に、プリズンブレイクに登場する黒人の英語について分析してみる。私がプリズ

 

ンブレイクを英語で聞きながら見るうえで一番聞き取れなかったのはこの黒人が使う英語

 

だ。プリズンブレイクは刑務所を脱獄して幸せになろうとするストーリーなので、主だ

 

った舞台は刑務所だ。その刑務所内には様々な人種の人物がいるが、黒人の英語には独特

 

の発音がある。まず、プリズンブレイクに登場する黒人はbe動詞を省略することが多い。

 

例えば、主人公のマイケルのことを黒人の囚人が「あいつは賢い」という場面。この時、

 

標準英語ならば「He is clever.」というところだが、この場面で黒人が使った言葉は「He

 

clever.」であった。これは授業で習った通り、黒人英語の特徴であるbe動詞の削除であ

 

る。しかし、同じ黒人でも囚人と刑事では言葉の使い方が違っていた。プリズンブレイク

 

に登場する黒人の刑事はbe動詞を削除するような場面は見られなかった。これはおそらく

 

その人物の社会的地位も関係してきているのではないかと思う。囚人は社会的にはよろし

 

くない地位にいる人間であるが、刑事は逆に社会を守るような立場の人間だ。そういった

 

人物は黒人であろうと日ごろから言葉の使い方に気をつけているのであろう。話し方も丁

 

寧だ。このことを知って、私は黒人だからと言って黒人英語を使うとは一丸には言えない

 

と考えた。

 

さらに、黒人英語に関してだが、プリズンブレイクのメイン人物でリンカーン・バローズ

 

という人物がいる。この人物は黒人ではないが、大須賀先生の講義中に習った「ain`t」と

 

いう黒人英語のbe動詞をしばしば使用しているのだ。このことを調べてみると、「黒人英

 

語エボニクスから来たスラング」、「教養のない人々の間で使われていた表現だが、今で

 

は若者も良く使う」(TAK英語情報局)とあった。確かに、リンカーン・バローズは少々荒

 

々しい性格の人物で、教養はあまり無い方だ。このことから「ain`t」という単語は日本語

 

でいうと「〜じゃねぇよ」というような意味合いであり、「〜じゃねぇよ」という文のよ

 

うにアメリカでは人によっては多用されている語なのだろうと予想できる。

 

次に、プリズンブレイクにおける英語の状況差をみてみる。プリズンブレイクの主だった

 

舞台は刑務所だというのは最初に述べた通りだ。囚人同士の会話なので、基本的に言葉使

 

いは荒々しい感じだ。字幕を見る限り、一回の発言でなにかしらの単語が省略されている

 

ようなことが多い。しかし、この荒々しい言葉使いも相手によって変わっている。プリズ

 

ンブレイクの登場人物にティーバックという人物がいる。この人物はずる賢く、刑務所内

 

でもそのずる賢さを発揮している。ティーバックはシーズン3にて無法地帯と化している

 

刑務所に収容され、そこにはボス的存在の囚人がいて、彼がその刑務所の囚人のルールを

 

決め、守っている。彼と一緒にいることで何か利益が得られると判断したティーバックは

 

彼に近づき会話を交わすようになるのだが、その時は言葉に「please」や「sir」の使用

 

頻度が多くなるのだ。そして単語の省略も起こらない。そして、刑務官の囚人に対する言

 

葉はとてもひどい。主人公であるマイケルに訪問者が現れた場面を例にとってみる。この

 

場面でマイケルは刑務所に収容されているのだが、刑務官がマイケルに訪問者の訪れを知

 

らせたときのセリフは「Scofield(マイケルのこと), a visitor.」だけである。本当に余計な

 

単語を取り除いて、最低限の情報を伝えるためだけの言葉と言えるであろう。この他にも

 

刑務官から囚人に対する言葉はあるが、どれも最低限の情報伝達ができる程度の言葉であ

 

る。先に述べたティーバックの言葉使いのような場面もあるが、基本的に刑務所という場

 

所が舞台、そしてそこを脱獄するという話なので最低限の情報が伝えられる言葉を発する

 

場面が多いように思われる。

 

プリズンブレイクで使われている英語の癖の強さの原因は、おそらく刑務所を脱獄するス

 

トーリーであるからだろう。少々社会から外れている人物が多いので教養もなく、言葉使

 

いが荒い。舞台も1箇所に留まらず、様々な地域からの囚人が集まったりしているので英

 

語も多種多様だ。我々日本人が英語を勉強するためのドラマとしては難易度が高いかもし

 

れないが、様々な英語にふれることができる点としては有用なドラマだと私は思う。

 

参考文献

 

TAK英語情報局 スラング辞典

 

http://haradakun.cool.ne.jp/slang/tak_slang_a.html